八月十八日 近藤先生の講演録  (株式会社トレンディムアイム様にご提供いただきました)

お盆明けの慌ただしい中、講演会当日は沢山の方がお見えになりました。
長年オリンピック選手の育成にたずさわれてきた、山野美容芸術短期大学名誉教授 医学博士 近藤陽一先生の講演をまとめました。

QOLの向上と審美性と健康と睡眠

QOLとはクオリティ・オブ・ライフの略称で「生活の質」と訳します。QOLの向上に関しては、国民性・文化・経済により大きな差異が出、QOLの向上には審美性が求められる。経済的発展と文化の成熟により、審美性が重視されるようになる。
美しさには、外見美と内面美があり、外見美とは髪・顔・装いなど、内面美とは精神美と健康美のことで、サッカーの澤選手やレスリングの吉田選手はキラキラと輝いていますよね。

健康人・半健康人・半病人・病人

健康人はどこも悪くない人。痛い所も、目も歯も悪くない人は1割。8割は半健康人と半病人。半病人とは病院に通っている半健康人のこと。足腰痛くても病院に通っていなければ半健康人とみなす。病院に通っていれば半病人で、例えば、午前中病院に通って、午後からゲートボールをする人は半病人と言えます。

美しさに必要な精神美と内面美

マリリン・モンローのデビューから亡くなるまでの写真を並べてみたら、いずれも最高のヘアメイク・最高の化粧・最高の洋服を身につけているにも関わらず、デビューしたてや結婚した時は輝いていた。ところが離婚騒動やスキャンダルにまみれた時は暗かった。だからいくら最高のヘアーやメイクをしても、精神美・健康美は隠せない。
美しさと健康という点で、今日本の女性の平均寿命が一番長く、長生きも一つの幸せの考え方と言えるが、健康寿命になると3~6才も下がる。

二一世紀の健康の定義

二十世紀の健康の定義は、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態を健康と言い、この定義は今1%もいない。
二十一世紀の健康の定義は、たとえ病気があっても、それと共存し、自己実現の為に努力する気持ちがあることが現代の定義。ガンになった人が健康になれないかと言うと、ガンに罹ってもあれをやりたい・これをやりたいと生活の中で目的を持ってやってれば健康だといえる。 例えば、春になって桜の開花を見て、その下でお花見をしたいと思えば「健康」だともいえます。
その気持ちによって健康度は変わってくる。努力できなくても気持ちは失わない。それが二十一世紀の健康の考え方で、それで九割がた健康になる。目的の大小に関わらず、前向きに気持ちを持つことは大切です。

健康管理の変遷

戦前の病気になってから治療する対症療法から、戦後は予防接種や上下水道の整備などで予防医学へとなり、感染症が怖くなくなった。そして、二一世紀は積極医学の時代へ。
今までの予防医学では限界がきて、これ以上良くならない。だから、健康食品や健康用品等で健康な人を病気にさせない、病人をなるだけ健康体に近づける積極医学の時代となった。

健康管理に必要なこと

健康管理の三本柱は栄養・運動・休養で、普通の生活をする限り、食べ過ぎ・運動不足が問題で、上手な休養の取り方が重要。人間の体は始終変化しているから、一定の範囲で上がると戻る、下がると戻る、を繰り返している。そこにストレスがかかり、上がりっぱなし下がりっぱなしが続くと、病気になったり、死を招いてしまう。
ここで大事なのがリラクゼーション。オリンピックでは、一次合宿をして少し休む。二次合宿をして少し休む。三次合宿をして少し休む。選手はこうしてピークをあげていき、科学的にホルモンなどを測ることで、調子をみることが出来る。
ストレスは必ずしも悪いわけではなく、打ち勝てばよい。耐えられないと思った時は、早い時期にリラックスをする。
だから、勉強でもスポーツでもあまり無理強いして追い込むとダメになるので、適度なストレスをかけ、頑張ったらリラクゼーションする。すると、またやる気が湧いてくる。
日曜日に疲れているのに、野球やゴルフをすることは積極的な休養で、スポーツ観戦や演劇鑑賞等は受動的な休養。
自分がリラクゼーションできれば良いので、どちらでも大丈夫で、究極の受動的なリラクゼーションは睡眠で誰でもできることが可能。

睡眠の目的は休息だけではない

睡眠は病気の予防や治癒・老廃物の排除・ホルモンや酵素の生産。寝る時に一番大切なホルモンは成長ホルモン。小さい子は身体を大きくするため。大人には身体の修復や老化防止・回復の為に必要。

高齢化・ストレス社会の一社会問題

不眠症による睡眠がとれないことから、うつ病・パニック症候群などの不慮の事故が発生しており、不眠症の改善に睡眠薬の常習者が増えている。八十代で三人に一人、七十代で四人に一人が服用しており、年々増加傾向にある。だから睡眠の質を高めることが重要。

睡眠の意義と良い睡眠とは?

睡眠で一番大切なのは自律神経を正常に保つこと。交感神経と副交感神経がちゃんと働くと深い睡眠がとれる。これが上手くいかないと、体温調節が崩れたり、過食や摂食障害、排便・排尿が上手くいかなくなる。海外の時差ボケがあるが、朝起きれず、夕方になると元気になる国内の時差ボケもある。
自律神経は大切な神経で、じっとしてると心臓はゆっくりと動き、階段を上がるとドキドキする。毛細血管は寒いと縮み、暖かいと緩む。血圧を維持したり、血液の流れを調整したりもする。
自律神経は身体の不調をものすごく訴えることがあるが、生かすためのものであるから、自律神経失調症になっても死にはしない。
自律神経失調症かどうかを判断するのには、朝起きてすぐにトイレに行く人と、いかない人とで判別できる。起きてすぐに行く人は失調症にはならない。三〇分四〇分たってもいかない人は要注意。

起き方も大事で、夢を見ている時だとパッと起きれるが、見ていない時は寝覚めが悪い。夢を見ている時は、頭は起きている状態なので、心拍数が上がるので割と目覚めが良い。逆に熟睡中の時は悪くなる。

必要な睡眠時間はどれだけか?

適度な睡眠時間は4時間半で良い、6時間はぎりぎりセーフ。6時間以上は惰眠で、それだったら6時間で起きて何かをやって、昼間に20分でも昼寝をすると良い。

どんな時に眠くなるか?

身体の深部体温が、す~っと下がり始めると、眠くなる。肌が温かくなるのは、深部体温の熱が肌側に行くからで、そのため深部体温がさがり眠気が出てくる。
手が冷たい人は、体内に貯めたエネルギーを出さない人。手が暖かい人は、身体に蓄積したエネルギーをどんどんだいしている人。良し悪しはない。

睡眠導入に必要な要因としての体温調整とは?

寝つきを良くするには、毛細血管を広げてあげること。そこを広げてあげると体内の熱が出て、身体の深部体温がさがるから眠くなる。布団が温かくなるのは、体温が布団に吸収されるからなので、電気毛布やホットカーペットの上で眠ることは最悪の睡眠で、深部体温が下がらないから熟睡できない。
お風呂にはいったり、ストレッチをして皮膚の表面を温め、深部体温を下げると寝つきはよくなる。

ノンレム睡眠とホルモンの関係

寝始めの徐波睡眠がとれると成長ホルモンが分泌され、細胞を修復し、疲労を回復する。睡眠は一サイクルが九〇分で、その中でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す。
六時間の睡眠でおよそ四回の夢を見る。四時間半の睡眠で、睡眠の必要量は八〇%取れており、六時間で九五%が取れる。この時に電気毛布などを使うと、身体を壊してしまう。だから良質な睡眠をとるためには、リラックスと体温を下げることが重要です。

睡眠の役割

睡眠ホルモンは暗くなると分泌が高まり、抗酸化作用もでてくる。睡眠の役割は、老廃物の除去・ストレスの緩和・脳と神経の疲労回復・免疫力の増強・ホルモンの分泌があり、身体を休めるだけではない。
成長ホルモン(美容ホルモン・若返りホルモン)の働きは、筋肉や骨の成長、若さを保つ、免疫機能の調整で病気の予防、エネルギーの代謝促進で肥満予防、記憶力の維持で認知症予防がある。

睡眠に関わるホルモン

メラトニン(睡眠ホルモン)、成長ホルモン、レプチン(摂食抑制・代謝亢進)、アディポネクチン(脂肪燃焼)、セロトニン、副腎皮質ホルモン(コーチゾル)。
よい睡眠をとると、これらのホルモンがちゃんと出てくる。悪い睡眠だとレプチンが出にくくなり、代謝が低くなって、摂食が抑制されなくなり肥ってしまう。アディポネクチンという脂肪燃焼ホルモンも出にくくなる。だから睡眠不足は肥満に通じる。

睡眠環境を整える健康寿命を延ばす基本

良質な睡眠を取り、血液・ホルモン・免疫の定期的な循環を促し、身体の日々のメンテナンスを滞りなく終えられる事が、美と健康の追及の原点です。
体内のメンテナンス作業を効率的に進める為に、寝返りの打ちやすい環境は必要不可欠。すなわち体液を二四時間滞りなく循環させることが絶対条件である。
最前線の現場となる、毛細血管が滞りなく働ける環境を作る。

睡眠と寝具環境

寝具の快適性とは、通気性・保温性・清潔度・対流と輻射・体圧分散と点接触。
寝具内の含水量と含気量がとても大切で、湿度が上がるから通気性がとても大切です。また空気は熱の遮断によても良いので、空気の層をつくることで、保温性が増す。
清潔度も大事なポイントで、ほこり(粉塵)には必ず微生物がいます。日本で一番多い死因はガンですね。二番目は心臓病。三番目は肺炎。四番目は脳卒中です。
三番目の肺炎、要するに埃で死んでしまうのです。怖い感染症には予防接種があります。若い人や元気な人には全然病原性はないが、身体が弱くなると肺炎を起こす病原菌が問題になります。
だから、寝具で水洗いが出来ることはとても大切な事なんです。洗えることで臭いがしないことも重要。臭いとは微生物が繁殖した証拠で、臭いを抑えるには微生物の繁殖を抑えること。だから湿度を五〇%以下に抑える。食品なんかも五〇%以下の水分になると腐らない。腐る=微生物の繁殖だから、湿度コントロールが大切です。

エアーランデヴーの利点

下だけでなく上も通気性が良い。下から上がってきた湿気を横から出してくれる。通気性が良くても含気量が低いと寒くてしょうがない。だから敷布団や掛布団も大切で、空気の流れや輻射熱をコントロールすることが良い。
体圧分散・点接触の面から見ると、寝てて硬すぎる・柔らかすぎるはとても大変。一番良いのは点接触になること。面で接触すると通気性が悪くなり、面で接触すると圧が変なふうにかかる。ハンモックの原理で、あれは点でうまく圧を分散してくれる。エアーランデヴーは下層でそれを理想的にしてくれ、上の層は空気を流してくれる。点で接触して体圧を分散してくれるのは、とても大切です。

低反発だと・・・

健康と足、健康と靴をテーマに研究もしていますが、靴底に低反発のものをやると戻るのがゆっくりだから、縮んだものが戻るのが遅くなり、三〇回も踏んでいると戻らなくなり、板のようになってしまった。
だから低反発素材に早く圧をかけると、全くクッション性がなくなる。だからマットレスなんかでも体をグッとやると、身体が全く動かなくなる。人間には睡眠時にある程度の寝返りが必要なので、それがスムーズに行えないことから、低反発はすすめれない。

だから寝具には、通気性・保温性・清潔度・対流・輻射熱・体圧分散が求められます。体内のメンテナンス作業を効果的に進める為に、寝返りの打ちやすい環境はとても大切で、すなわち体液を二四時間滞ることなく循環させることが絶対条件です。
寝具環境で、睡眠時の体の最前線である毛細血管が滞りなく働ける睡眠環境をつくってください。